宝石買取の最新情報
私が受け取った手紙によると、提案した方法で数千ドル相当の被害を防ぐことができたそうだ。
店がどのように機能しているのかを解明したこの初めての試みは、私が目指すべき方向を理解するのに十分な結果をもたらした。
驚いたことに、私には論理的かつ明白に見えたことが、クライアントにとっては思いがけないほど嬉しい指摘だったのだ。
明らかに、私はビジネスの世界に足を踏み入れていた。
そこでは私のやったことに価値があったのだ。
しかし、私はその結果について、あるいは全体の脈絡について、何もわかっていなかった。
ほぼ20年前の当時、私はそこに科学が介在することは承知していた。
あとはそれが何かを探すだけだった。
外のどこかに、小売りの世界でショッピングの科学と呼ばれるようになるものが存在していたのだ。
ショッピングの科学が誕生する以前、店のなかで起こっていることを調査する方法は、主に2つあった。
一般的な方法は、「テープ」を検証することだ。
これは、レジからでる情報で、何が、いつ、いくらで買われたかを語っている。
高度に洗練された巨大な多国籍チェーンから、街角のニューススタンドにいたるまで、およそあらゆる小売業が行なっていることだ。
4半期ごと、あるいは一年、あるいは任意の1日、あるいは1日のうちの特定の時間帯に、その店が全体としてどんな調子かを知るのにこれはよい方法だった。
つまるところ、店の全般的な健全性と繁栄ぶり(あるいは衰退ぶり)を調べる方法である。
レジからでる情報は過去20年間にめざましく洗練された。
商品バーコード、お客様カードやクレジットカードとの連繋のおかげで、商店やマーケティング会社は、何が売れ、誰が買うかについて、幅広い情報を得られるようになった。
とはいえ、レジにもとづくデータには大きな問題が二つある。
第1に、業界はデータ集めに長けているわりに、それをタイミングよく利用できるシステムやプロセスの設計が下手であること。
第2に、店の奥深くにあるレジ裏からの視線は、近視眼的だということ。
ビジネスマンが、このテープからあまりにも多くを引きだそうとすると、とんでもない間違いをおかすことがある。
よい例がある。
マサチューセッツ州の閉鎖的な地元のショッピングモールにあるドラッグストアのチェーン店。
ここは、このチェーンがモールに進出したこともあって、経営陣は熱心に結果を知りたがっていた。
売上げだけを見れば、クライアントはほどほどに満足していた。
ところが、われわれがそれまでに行なったドラッグストアや鎮痛剤売場の数々の調査結果に照らすと、ある重要な数字が低かった。
クロージャー率、成約率、が、予想されるよりも悪いのだ。つまり、アスピリン売場で足を止め、箱を手に取り、説明を読む客は多くても、実際にアスピリンを買う客が少なすぎるのだ。
アスピリンの購入率は高いのがふつうだ。
アスピリンはのんびりと眺めるような商品ではなく、たいていは必要にかられて売り場へ急ぐ。
そこでわれわれは、しばらく時間をかけて、アスピリンの棚のトラッキングとビデオ撮影を行なった。
3日間のうちに、あるパターンが浮かび上がってきた。
アスピリンは店の主要通路に置かれている。
通路の先にあるソフトドリンクの冷蔵ケースは、大勢の客が集まる場所だ。
そうだとすると、アスピリンはよく売れそうなものだが、現実は正反対だった。
清涼飲料水を買うのは主にティーンエイジャーで、われわれの観察したところ、彼らの多くは店に入ってくるなりクーラーに突進する。
実は、ここはショッピングモールの若い従業員が休憩時間に冷えたソーダをわしづかみするのに絶好の場所になっていたのだ。
お尻がぶつかって生じる現象の修正バージョンである。
買い物客は突き飛ばされはしないが、少々おびえていた。
ビデオを見れば、はっきりとわかる。
なかにはすくみあがって、棚にしがみつく人さえいた。
これは理想的なショッピングの姿勢とは言えない。
こういう若い店員たちは、アスピリンにはまるで興味がない。
アスピリンを買いたがっている客には高齢者が多いが、彼らは棚のところでいらだち、ちょっと立ち止まる。
いつもの薬を探したり、何を買おうかと思案したりしながら、10分間の休憩中に通路を突進してくる若者たちにぶつからないよう注意しなければならないのだ。
実を言うと、アスピリンを買おうとする客の相当数が、ティーンエイジャーたちにいらだち、おびえて、品定めを中途で切り上げ、むなしく引きあげていたのである。
さらに時間を計ったところ、買い物客が棚の前で費やす時間が、これまでの経験から予測されるよりも短いことも判明した。
こういったことが、われわれの仕事ではしょっちゅう起こる。
店の客層は単一ではない。
いい例がハーレーダビッドソンのディーラーである。
約3000平方フィートのショールームで、バイクを買って男らしさを回復しようとする裕福な初老の男性から、スペアパーツを探す肉体労働者、ハーレーのロゴに憧れる10代の少年までさばかなければならないのだ。
この3者はたがいに関係をもつ気がまったくない。
機能が衝突する場合には、できるだけ多目的の対応ができる方法を考えなければならない。
だから、店は同じ場所でいくつもの機能をはたさなければならないのだ。
こうした機能が完璧な調和をかなでて共存する場合もあるが、ときによっては、清涼飲料水や薬品など多種多様な品物を扱う店では特に、ある機能と別の機能が衝突する。
このドラッグストアの場合、われわれはクライアントに調査の結果を伝え、ふつうなら思いつかない方法を提案した。
つまり、薬品売場を店内の静かな一角に引っ越しさせたのだ。
売り場を訪れる客は減るだろう。
それはしかたがない。
だが、アスピリンの売上げは増えるはずだ。
棚を移動したあと、売上げは15%以上も伸びた。
さらに、スナック食品を店の正面近くに移動するよう助言した。
この配置は、いまやドラッグストア業界の常識となっている。
またあるとき、われわれが調査した大型書店は、ディスカウント本を積みあげた大きな台を入口に置いたばかりだった。
客が入ってくると真っ先に目につく。
効果は絶大だった。
客のほぼ全員が立ち止まって眺めたものだ。
1冊でも本を買う客の割合も高かった。
レジのテープだけ見れば、このテーブルは大成功だっただろう。
ところが、買い物客をトラックしてみると、例のテーブルを見たあと、店内の他の場所をめぐる人数が予想よりも少ないことが判明した。
毎時きっかりにトラッカーが店内を見まわり、レジやコーヒーショップをはじめ、どの売り場に何人の客がいるかを記録する。
この密度チェックを、われわれは調査のたびごとに行なう。
ここから得られる情報は非常に重要だ。
その店の「人口」を、写真を見るようにして正確に把握できるし、人びとがどこに引きつけられ、どこに引きつけられないかがわかり、建築やレイアウト上の何がある特定のエリアから客を遠ざけているかもわかる。
客が店内をどのように動いているか(動けずにいるか)がわかるのだ。
実際、売り場ごとに吸収されるので、店内の他の場所に広がる客の数が把握できるのだ。
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